はじめてきった





初めて戦に出た高杉の漆黒の髪を雨が濡らす。鳴り響く雷も滴る雫も気にせず高杉は立ちすくむ。

その背後にゆっくりと近付く影は白。

「部屋にいないと思ったらこんなところにいたんだ。お前雷苦手だから外にはいないと思ったんだけど・・・」

振り返らずとも声の主はわかっているため高杉は動かない。

「何してるの?風邪ひくよ?」

そう言われても高杉は動かない。声の主も無理矢理動かそうとはしない。


「・・・い・・・だ・・・」

しばらくそうしていると雨音にかき消されるような小さな声で高杉が何かを発した。

「ん・・・?」
「怖いんだ・・・」

優しく聞き返した声の主、銀時の耳に届いたのはその一言。

「何が怖いんだ?」

銀時はゆっくりと高杉の前へ移動し、問う。

「俺・・・斬ったんだよな?・・・天人を・・・生きていたものを・・・」

銀時の方を見ず言う言葉は弱々しく、本人も消えてしまいそうだ。

「斬ってるときは何とも思わなかったんだ・・・でも後から考えたら・・・怖くなって・・・」

言いながら俯く高杉の頭を銀時は優しく撫でる。いつもなら抵抗する高杉もその気力さえ無いようで何の反応も示さない。

「お前・・・俺のこと怖いか?」
「え・・・?」

突然の質問に高杉は思わず顔を上げる。

「俺はお前より早く戦に出てるからお前より多くの天人を斬ってる。そんな俺が怖いか?」
「・・・怖く・・・ねぇ・・・」
「俺も同じだ・・・多分ヅラも辰馬も・・・みんなお前を怖いなんて思ってない。自分が怖いと思ってても周りは怖くないって言ってくれる・・・それで良いんじゃねぇか?」

高杉は再び俯くもゆっくり頷いた。

「だろ?お前は考えすぎなんだよ。もう少し気楽に生きよーや」
「・・・お前はもう少し真面目に生きろ」
「ヒドッ!銀さんだって真面目に生きてるんだよぉ?」
「そうは見えねぇな・・・」

銀時が高杉を見ると自分を見上げる相手は笑顔で、自分も笑顔を返す。

相手の笑顔には不安や迷いは無く、自分の信じた道を進もうとする意志が感じられ、自分の笑顔には相手のこの笑顔を守り、相手が信じた道を進めるように自分が出来ることをするという誓いを込めた。

「さて・・・ヅラも心配してるし、戻るか」
「あぁ・・・」

2人は駐屯地までの、そう長くはない道を並んで歩く。
その目はそれぞれが願う明日を見据えていた。







END









高杉は銀時より若いから戦争経験に差がある・・・と良いなぁという妄想から生まれた産物です。

では読んで下さりありがとうございました。