待ちわびて





朝と言うには遅過ぎる時間に高杉は目を覚ました。
一通りの身支度をしたものの、予定もないのに出掛ける気など起きずベッドに横になる。
一人暮らしの部屋には冷たい空気を送るエアコンの音と窓の外で鳴く蝉の声だけが響く。

寝返りをうつと今ではすっかり静かになった携帯が目に入った。
それは日付が変わり8月10日になったばかりの時間帯には何通かの受信を知らせていた。

眩しい程鮮やかなまた子のメール。
淡々と祝いの言葉のみ書かれた万斉のメール。
不器用ながら祝っている土方のメール。
祝ってるのか呪ってるのかわからない内容の沖田のメール。
長々と祝いの言葉と説教が書かれた桂のメール。
その他にも何人かから祝いのメールが送られてきた。

ある一人を除いては。
忘れている、もしくは関心がないのだろうと思った高杉も、多少は祝ってくれるのを期待していた。
期待をするだけで自分からは連絡しない。連絡なんてすると相手が調子に乗るだけ。
このまま寝てしまうのが期待もせずに過ごすには1番良い、と高杉はそのまま目を閉じた。


数時間後、高杉は携帯の着信によって目を覚ました。
画面に表示された名前も確認せず電話に出る。

「・・・・・・はい・・・」
「高杉?何、お前寝てたの?」

その声に高杉の意識は急速に浮上した。

「銀八?」
「誕生日なのに遊ぶ奴いないなんて寂しいなぁ?」
「うるせぇ」
「もしかして俺からの連絡待ってたとか?」
「・・・別に」

素直になれない高杉はつい意地を張る。

「待ってたくせに」
「待ってねぇって」

どんな嘘も意地も銀八の前では通用しないことはわかっている。
それでもそれを口にするのは高杉がまだ子どもだからなのだろう。

「何だ。お前が今日1日俺のことしか考えないようにしたくてメールしなかったのに」
「テメェ・・・わざとかよ・・・」
「やっぱ待ってた?」
「・・・・・・うるせぇ。用無いなら切るぞ」
銀八の行動もそうだが、不覚にも銀八に踊らされた自分が腹立たしくて電源ボタンに指をかける。

「え・・・ちょ、待った!」
「・・・んだよ」
「折角の誕生日なんだから祝ってやるよ」
「この時間まで放置してたのにか?」
「それは悪かったって。・・・っていうか俺今お前ん家の下にいるんだよね」
「は?いつから」
「電話かけた時から」
「・・・今行く」

その言葉が発せられてすぐに電話は切れた。

「可愛いねぇ・・・」

繋がりが無くなった携帯を見つめながら銀八は呟く。


パタパタ・・・

銀八の耳に高杉が階段を下りてくる足音が聞こえた。

この時間まで連絡しなかったお詫びに今日くらい我儘をきいてあげようか。
でもその前に今日1つ大人に近付いたお前に

「誕生日おめでとう。高杉」







END









高杉誕生日おめでとう!
このサイトで3度目のお祝いが10日以上後・・・。
高杉ごめんね。
そして久しぶり過ぎて駄文過ぎる・・・。
読んで下さりありがとうございました。